この知恵で考えられること
大志を持つ青年よ。前提をすっ飛ばせ。そして前提をすっ飛ばすな。





世界を変えたい。
せっかく働くなら、新しいことをしたい。
そう思って勉強しているのに、
目の前の仕事は、思っていたほど進まない。
知っていることは増えている。
できそうなことも増えている。
でも、実際に変わったことはあんまりない。
なんでや。
結構ちゃんと学んでるんですけど。
みたいなことがある。
最近、この学習と実現のギャップについて、
少し分かってきた気がしています。
「大きい世界を変える力」と、
「その人、その組織の世界を変える力」。
これ、似ているようで、
結構違う競技なんだなーという話です。
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同じスポーツの、一部リーグと二部リーグではない
世界の先端で、
まだない技術や仕組みを成立させる。
その人、その組織にとって、
まだできていないことを成立させる。
どちらも「世界を変える」仕事です。
ただ、同じ仕事を
大きくやっているか、小さくやっているか。
という違いではない気がする。
前者は、
世界でまだできなかったことを、
できるようにする。
後者は、
世の中にはすでにあるものも含めて、
その人、その組織の現実として成立させる。
技術的には可能です。
他社ではやっています。
サービスもあります。
でも、うちではできていません。
この間にも、結構大きな未知がある。
同じ「経営」「開発」「デザイン」「支援」
みたいな名前で呼ばれるから、
必要な能力も同じに見えやすい。
そして、世界的にやっている人がすごくて、
目の前の人や組織を変えている人は、
その小さい版をやっているようにも見える。
でも、たぶん、
一部リーグと二部リーグではない。
サッカーとバスケくらい、
競技が違う部分がある。
どちらも走る。
周りを見る。
仲間と連携する。
共通する力はもちろんある。
でも、何を見て、どう動いたら、
その競技で成果になるのかは違う。
その違いを抜きにして、
「すごい人のやり方」として一緒に学ぶと、
ちょっとややこしくなる。
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学んでいる競技と、実現したい競技
たとえば、目の前の組織の仕事を変えたい。
そのために、
新しい技術を学ぶ。
世界的な経営者の戦略を学ぶ。
大きな市場の作り方を学ぶ。
それ自体は、面白いし意味がある。
ただ、その組織の仕事が進まない理由が、
そこにあるとは限らない。
誰が決めていいか分からない。
失敗したときに誰が引き受けるか決まっていない。
新しいやり方を試す時間がない。
そもそも、何が良くなると本人がうれしいのか、
こちらが分かっていない。
そんなところで止まっているのかもしれない。
その場合、世界の先端について詳しくなっても、
目の前の詰まりは、まだ残る。
学んだことが無駄だったわけではない。
学んでいることと、
今、越えたい壁が対応していない。
そういうギャップもあるんだと思います。
逆もある。
一人ひとりの事情に合わせて
仕事を成立させるのが得意な人でも、
多くの人に共通する仕組みを作るときには、
別の難しさが出てくる。
どこまで個別に応えるのか。
何を共通にして、何は引き受けないのか。
今までの得意技だけでは、決まらない。
だから、
「もっと勉強しよう」
「もっと実践しよう」
の前に、
何を実現したくて、
何の競技を練習しているんだっけ。
ここを確認する意味がある。
成長を支援する側も同じで、
別競技の練習を一生懸命手伝っていたら、
お互い頑張っているのに、進まない。
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前提をすっ飛ばせ
大志を持っている人には、
今あるやり方を、そのまま自分の限界に
しないでほしいなと思う。
今までこうだった。
普通はこうする。
この仕事は、こういうものだから。
それ、本当にそうなんだっけ。
たとえば、
人が頑張って覚えること。
毎回、必要な情報を探すこと。
誰かが気を張って、抜け漏れを拾うこと。
そうやって成立している仕事があったとして。
もっと頑張れる人を探すのではなくて、
そんなに頑張らなくても成立するようには、
できないんだろうか。
必要な確認は残しながら、
確認するための手間を減らせないか。
覚える前に、必要な場面で分かるようにできないか。
誰かが頑張り続けることを、
仕組みの部品にしなくてもよくないか。
そういう疑い方は、持っていたい。
今のやり方を上手にこなすことと、
もっと良いやり方を作ることは、
同じではないからです。
もちろん、疑ったら全部変えられるわけではない。
でも、
今そうなっているというだけで、
これからもそうする理由にしなくていい。
その前提を外したら、
何ができるんだろう。
一旦、そこまで飛んでみる。
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そして、前提をすっ飛ばすな
ただし。
新しいやり方を思いついたことと、
そのやり方で仕事が成立することは違う。
「こっちの方が便利です」
「もう技術的にはできます」
「なんで変えないんですか」
これだけだと、
相手の現実を、こちらの頭の中で
省略してしまっていることがある。
その人は、何に責任を持っているのか。
その組織では、何を守りながら仕事をしているのか。
誰かの作業を減らした結果、
別の誰かの仕事が増えないか。
そこまで含めて、現実なんですよね。
相手の事情は、
正しい提案にくっついてくる
面倒な例外、ではない。
その人、その組織を変えようとしているなら、
そこが仕事の本体だったりする。
ただ、これも、
「事情を知って、現状に従いましょう」
という話ではないです。
今も必要な条件なのか。
昔は必要だったけれど、今は違うのか。
守りたいものは同じまま、
やり方だけ変えられるのか。
知ることで、変え方が見えてくる。
前提を理解することと、
前提に従うことは違う。
前提をすっ飛ばせ、というのは、
今あるやり方だけで可能性を考えないこと。
前提をすっ飛ばすな、というのは、
今そこにいる人や組織の事情を、
なかったことにしないこと。
似た言葉だけど、
飛ばしているものが違います。
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大きな構想の入口が、パソコン選びでもいい
たとえば、
ある組織の仕事を大きく変えたい。
でも、その組織にとっての最初の一歩は、
パソコンを一緒に選ぶことかもしれない。
次は、初期設定かもしれない。
こちらの頭の中には、
もっと先の構想がある。
AIも使いたい。
仕事の仕組みも変えたい。
今までできなかった事業もやりたい。
そのために来たのに、
今日はパソコンの設定をしている。
これを、
「やりたかった仕事と違う」
と思う気持ちも分かる。
ただ、その一歩がないと
相手が次に進めないなら、
それは構想の外にある仕事ではない。
構想を、その人の現実につなぐ仕事です。
もちろん、
地味な仕事は全部大事だから黙ってやれ。
という話でもない。
本当に不要な手順かもしれないし、
そこが実現の入口かもしれない。
地味かどうかでは、判定できない。
大きな構想だから、
最初の一手も大きくて、
新しくて、かっこいい必要がある。
その前提も、
すっ飛ばしていいんだと思う。
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その人、その組織にも、大志がある
「もっと良い仕事をしたい」
それは、経営者や起業家だけのものではない。
本当は、あのお客さんにもう少し対応したい。
この作業を急いで終わらせるのではなく、
自分が納得できる品質にしたい。
この組織で、もう一つ引き受けられることを増やしたい。
そういう願いもある。
外から見ると、
今でも仕事は回っている。
特に問題があるようには見えない。
でも、本人からすると、
やりたいことと、実際にできていることが
全然一致していないのかもしれない。
世界にまだないものを作る人だけが、
理想と現実のギャップに向き合っているわけではない。
その人、その組織にも、
まだ実現できていない世界がある。
そこを変える仕事を、
「小さいことをやっている」とだけ呼ぶのは、
ちょっと違うなと思います。
世界にとっての新しさと、
その人たちにとっての新しさ。
同じではないけれど、
どちらにも、創造がある。
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これは、団体戦だ
ここまで書くと、
世界の先端も理解して、
発明もできて、
組織の事情にも詳しくて、
一人ひとりに合わせて実現までできる人になれ。
みたいに見えるかもしれない。
忙しすぎる。
そういう、一人で全部できる
すごい人を目指そうという話ではないです。
世界の可能性をひらく人がいる。
その人、その組織の現実をひらく人がいる。
その間で、
技術や言葉や事情をつなぐ人もいる。
一人がいくつかを担うこともあるし、
得意なところを分け合ってもいい。
ずっと同じ役割でいる必要もない。
大事なのは、
違う競技をやっている人を、
自分の競技の物差しだけで見ないこと。
先端を作っている人が偉くて、
現場で実現する人はそのお手伝い。
そういう関係ではない。
現場で見つかった問題が、
次の発明の問いになることもある。
新しく生まれた可能性が、
その組織の諦めていたことを変えることもある。
一方通行で配るだけではなく、
行ったり来たりしながら、
できることが変わっていく。
そう考えると、
自分が何を学べばいいかも、
少し具体的になる気がします。
今、自分が引き受けているのはどこか。
そこで実現できていないのは何か。
自分が身につける力と、
誰かの力を借りるところはどこか。
自分が全部できることと、
自分たちで実現できることは違う。
大志は、小さくしなくていい。
ただ、その大志を
一人で全部背負う必要もない。
前提をすっ飛ばす大胆さと、
前提をすっ飛ばさない理解。
その双方を、
それぞれの場所で頑張る人たちがいる。
どっちがすごいか、ではなくて。
どうつながったら、実現するか。
違う競技を頑張る人たちが、
同じ世界の変化をつくっている。
これは、団体戦なんだと思います。