この知恵で考えられること
ビジネスモデルとは、単に「何を売って、どう儲けるか」を示すものではありません。
ビジネスモデルとは何か
ビジネスモデルとは、単に「何を売って、どう儲けるか」を示すものではありません。
より正確には、誰が、何を持ち寄り、どのような価値を生み、それを誰が受け取り、その結果として何が蓄積され、次の活動がどう可能になるのかを示す全体構造です。
収益モデルは、その一部です。
ビジネスモデルには少なくとも、
- 価値が生まれる流れ
- 価値を受け取る主体
- 資源を提供する主体
- 交換の方法
- 継続に必要な費用
- 蓄積される資産
- 次の活動への再投資
- 組織や参加者が動く理由
- 成長したときの構造変化
まで含まれます。
C.R.O.W.の場合は、さらに、個別の事業をどう成立させるかだけでは足りません。
複数の活動、生き物、生き方、場、技術、資金が、互いを育てながら次の存在を生み続ける構造
まで描く必要があります。
したがって、C.R.O.W.におけるビジネスモデルは、事業計画というより、価値・資源・関係・意思が循環する生態系の設計図に近いです。
ビジネスモデルを整理する意味
1. 夢が、どの現実から始まるのかを明確にする
大きな理念だけでは、最初に何をすればよいかが決まりません。
- 今ある技能
- 今使える時間
- 今ある資金
- 今ある場所
- 今つながっている人
- 今扱える技術
を、何に投じると最初の価値が生まれるのかを整理する必要があります。
ビジネスモデルは、理想と今日の活動をつなぐものです。
2. 活動を一過性で終わらせない
楽しい活動や価値あるプロジェクトでも、毎回同じ人が無理をしなければ成立しないなら続きません。
何が残り、
- 次回の負担を減らすのか
- 次の参加者を助けるのか
- 次の収益を生むのか
- 次の活動の材料になるのか
を明らかにすることで、活動を蓄積へ変えます。
3. 収益と理念が別々に動くことを防ぐ
理念活動は赤字で、別の受託仕事で支える、という二重構造は初期にはあり得ます。
ただし、それが固定化すると、
- 稼ぐ活動
- 本当にやりたい活動
が分断されます。
C.R.O.W.のビジネスモデルでは、価値を生む活動そのものが、可能な範囲で次の活動条件を育てる必要があります。
4. 誰かの消耗を見えなくしない
事業が成立しているように見えても、実際には、
- 発起人の無償労働
- スタッフの善意
- 参加者の感情労働
- 場所の持ち出し
- 生き物や環境への負担
- 将来への支払いの先送り
によって維持されていることがあります。
ビジネスモデルを描くことで、価値だけでなく負担の流れも見えるようにします。
5. どこまで自律したのかを判断する
活動が大きく見えることと、自律していることは異なります。
- 発起人が止まれば止まる
- 補助金が終われば終わる
- 特定顧客が離れれば終わる
- 毎回集客をゼロからやり直す
なら、まだ自律性は弱い。
ビジネスモデルは、活動が何に依存し、何から離れ始めているかを見るためにも必要です。
6. 次の段階へ進む条件を明確にする
第一段階の活動が、いつ第二段階へ移るのか。
- 何人参加したら、ではなく
- 何が蓄積されたら
- どの依存が減ったら
- どの循環が自走したら
次へ進めるのかを定義します。
ビジネスモデルとは何が表されているべきか
大きく分けると、次の八つです。
1. 投入されるもの
最初に誰が何を差し出すのか。
- 時間
- 技能
- 知識
- お金
- 場所
- 道具
- 信用
- 人間関係
- 観測
- 創作物
- 余剰資源
- 生き物との関係
ここでは、C.R.O.W.だけでなく、参加者、顧客、支援者、地域、技術、他の組織が持ち寄るものも含みます。
2. 起こす行為
投入された資源を、何に使うのか。
- つくる
- 集まる
- 観測する
- 試す
- 遊ぶ
- 交換する
- 記録する
- 育てる
- 支える
- 競う
- 配信する
- 評価する
- 組み替える
ここが実際の活動です。
3. 生まれる価値
活動によって、誰に何が起きるのか。
- 楽しい
- 生きやすくなる
- 選択肢が増える
- 新しい関係ができる
- 新しい仕事が生まれる
- 未知の文化に入れる
- 生き物の状態がよくなる
- 現実が見えるようになる
- 何かを扱えるようになる
- 次の創造が可能になる
価値は、商品そのものではなく、受け手の現実に起きる変化として記述する必要があります。
4. 交換の仕組み
その価値は、どう受け渡されるのか。
- 販売
- 月額課金
- 利用料
- 自由払い
- 投資
- 寄付
- 会費
- 委託
- ライセンス
- 共同購入
- 貢献交換
- 紹介
- 信用
- 参加
- 共創
- 贈与
C.R.O.W.では、Universal、Contextual、Symbioticの交換を重ねて設計する必要があります。
5. 残る資産
活動後に何が残るのか。
- 現金
- 記録
- データ
- IP
- プロトコル
- 道具
- ソフトウェア
- 場所
- 信用
- ブランド
- 参加者
- 関係
- 運営知識
- 文化
- 判断基準
- 物語
ここが弱いと、毎回ゼロから始まります。
6. 再投資の流れ
残ったものが、どこへ戻るのか。
- 活動を安定させる
- 参加者の生活を支える
- 場所や道具を整える
- 次の実験へ投じる
- 新しい生き物を育てる
- 他の活動を支援する
- 共通基盤をつくる
- リスクを吸収する
- 記録や継承を行う
ビジネスモデルでは、利益の出口ではなく、余剰が次の可能性へ変わる経路を描きます。
7. 自律化と自己組織化
誰が指示しなくても、何が起きるようになるのか。
- 参加者が役割を見つける
- 必要な資源が集まる
- 新しい企画が派生する
- 別の人が運営を担う
- 需要と供給が接続する
- 問題が観測される
- 改善が提案される
- 活動同士が連携する
ここには、入口、ルール、権限、記録、報酬、信用、意思決定方法が必要です。
8. 次の層への発展
循環が育つと、何が一段大きく可能になるのか。
- 単発活動が継続活動になる
- 活動が独立した事業やIPになる
- 複数事業が資源を共有する
- 共通基盤が生まれる
- 他地域へ移植される
- C.R.O.W.の外でも派生する
- 新しい生き方が成立する
- 新しい生き物が自生する
- お祭りが常時的な生態系になる
この「発展条件」が描かれていることが重要です。
良いビジネスモデルとは
良いビジネスモデルかどうかの評価軸
1. 価値実在性
本当に誰かや何かの現実を変えているか。
理念的に良いだけでなく、受け手にとって具体的な価値があるか。
2. 交換成立性
価値を受け取る主体が、何らかの形で資源を返せるか。
返す方法が貨幣だけに限定されず、しかし曖昧すぎもしないか。
3. 収支持続性
価値を生むために必要な費用と、戻ってくる資源が釣り合うか。
続けるほど赤字や負担が増える構造になっていないか。
4. 非消耗性
活動量が増えるほど、特定の人や生き物の負担だけが増えていないか。
消耗が見えない場所へ移されていないか。
5. 蓄積性
一回の活動が、次回の資産として残るか。
続けるほど楽になり、賢くなり、選択肢が増えるか。
6. 代謝性
現実が変わったとき、事業、ルール、役割、資料、価格、活動内容を更新できるか。
過去の成功に固定されないか。
7. 自律性
発起人や特定人物が不在でも、価値提供と運営が続くか。
依存先が明確で、段階的に減らせるか。
8. 自己組織化性
参加者が受け身の消費者だけでなく、必要に応じて担い手になれるか。
役割や企画が中央から配られなくても生まれるか。
9. ネットワークエフェクト性
参加者、活動、データ、場所、IPが増えるほど、他の参加者にとっての価値も高まるか。
単に運営負担が増えるだけではないか。
10. 相互循環性
一つの活動の成果や余剰が、別の活動の資源になるか。
各事業が孤立せず、全体へ何かを返しているか。
11. 多様性維持性
規模が大きくなるほど、参加者や活動が均一化されないか。
異なる目的、速度、交換方法を持つ存在が共存できるか。
12. 離脱可能性
参加をやめても過度な損失や罪悪感が生じないか。
戻ることも可能か。
13. 継承性
個人の頭や身体の中だけにある知識が、次の人へ渡るか。
文化、美意識、判断基準まで残せるか。
14. 発展生成性
現在の事業を維持するだけでなく、次の事業、活動、生き方、生き物を生み出すか。
15. 理念整合性
成長や収益のために、
- 手助けしすぎる
- 勝手に限界を決める
- 誰かの消耗を前提にする
構造になっていないか。
特に重要な五つの中核評価軸
評価軸が多すぎる場合は、まず次の五つで見られます。
価値
本当に望ましい現実を生んでいるか。
循環
生まれた価値が、次の活動条件へ戻っているか。
自律
特定個人の力だけに依存せず続くか。
生成
続けるほど、次の活動や存在が生まれるか。
非消耗
誰かや何かの犠牲を不可視化していないか。
この五つを一文にすると、
良いビジネスモデルとは、実在する価値を生み、その価値が次の活動へ循環し、特定個人への依存を減らしながら、新しい活動や存在を生み、誰かの消耗を前提にせず続く構造である。
C.R.O.W.の場合は、さらにここへ、
生き方・生き物・祭りの三領域が、互いの資源と可能性を交換しながら、第一次元から第三次元まで連続して発展すること
が固有要件として加わると思います。