この知恵で考えられること
人が何かを作るとき、最初に必要なのは必ずしもボタンやコードではありません。
モノの見方からモノを生むこと。
代表例

- 概要
知覚を基準にしてものづくりを行うデザインの在り方。
人が何かを作るとき、最初に必要なのは必ずしもボタンやコードではありません。
最初に必要なのは、対象を扱える単位で捉えることです。
その見方を構造に落とし、アプリケーション、業務、状態把握、プロダクトづくりに接続する設計思想。
- 背景
同じ対象でも見え方は違う
同じ対象でも、人によって見え方は違います。
ToDoアプリでも、エンジニアの知覚にとって良いToDoアプリ、高齢者の知覚にとって良いToDoアプリ、子供の知覚にとって良いToDoアプリは違います。
同じ業務でも、マネージャーが見たいもの、作業者が迷わないために必要なもの、AIに渡すべき構造は違います。
同じお金の流れでも、会計担当者にとっての見え方、創業者にとっての見え方、現場責任者にとっての見え方は違います。
PDDは、この違いを前提にします。
これからの時代のものづくり
これからの時代、個人や小さなチームがシステムを作ることは当たり前になっていきます。
生成AIやノーコードツールによって、専門的なエンジニアだけでなく、多くの人が仕組みを作る側に回りつつあります。
しかし、作る手段が増えたにもかかわらず、「ちゃんと動くもの」「使われるもの」を作ることは依然として難しいままです。
- 画面は作れる。
- コードも生成できる。
- 簡単なプロトタイプも作れる。
それでも、実際に使い続けられるもの、本番で破綻しないもの、自分たちや誰かの現実に合ったものを作るのは難しい。
PDDは、この問題を「開発手段の不足」ではなく、「知覚と構造の接続不足」として捉えます。
- Perception Driven Development
PDDとは何か
Perception Driven Developmentは、対象の知覚の仕方を基準にして、ものづくりを行う方法です。略してPDDと呼べます。
知覚の仕方を基準にしたものづくり
Perception Driven Developmentとは、対象をどのように知覚するかを定義し、その知覚を基準にして、構造、UI、データ、処理を組み立てる方法です。
もう少し短く言えば、知覚をものづくりの出発点にすることです。
当事者の世界をちゃんとわかれば、ものまで落とせる。これがPDDの中心にある考え方です。
- 実装者にとっての本質
人が何かを作れない理由は実装だけではない
多くの場合、人が何かを作れない理由や人が何かを使いこなせない理由は、実装だけではありません。
もっと手前にあるのは、対象を自分の言葉で捉えられていないことです。
- 何を一つの単位として扱うのか。
- 何が状態なのか。何が変化なのか。
- どの操作によって何が起きるのか。
- 何を保存すべきで、何を一時的な入力として扱うべきなのか。
自らの手を離れて機能する”モノ”を作るからこそ、対象を構造的に捉えモデルを組み上げる必要が発生します。
これらが曖昧なままモノや画面だけを作ると、途中までは動いているように見えても、最後に破綻します。
命名とイメージが前提条件である
人は形、名前、イメージを通じて対象を理解します。
- モノやシステムを作る時にも命名が曖昧であれば、対象の境界も曖昧になります。
- 対象の境界が曖昧であれば、操作や設計の単位も曖昧になります。
だから、良い設計は、まず認知できる単位を作るところから始まります。
これは創造物そのものだけではなく、設計段階やエディターにおいても同じことが言える。
- PDDが齎すこと
ものづくりの起点が変わる
PDDでは、対象をどう知覚するかを起点にすることで様々な創造や機械にアクセスできる総人口を増やします。
- ユーザーにとって何が見えているのか。
- 何が重要なのか。
- どの単位なら扱えるのか。
- どの操作なら自然なのか。
- どの状態なら判断できるのか。
そこから構造を作ります。
これは、これまでのエンジニアリングの否定ではありません。
むしろ、エンジニアリングに落とす前の知覚をより正確に扱うことで、実装の破綻を減らす考え方です。
同じ対象を複数の知覚から扱える
一つのUIで全員に合わせるのではなく、異なる知覚ごとに適切なUIを作る。
そして、単に画面をたくさん作るだけでは、分断が増えるだけです。
PDDの目指す先は、異なる知覚を踏まえたあるべきUIやプロダクトを作りながら、裏側の構造を破綻させないことです。