この知恵で考えられること
また、当内容を元に行うイベントを2025年10月11日に行うのでよければぜひ参加してください。
実践内容と学びの共有のために記事を作成しました。
また、当内容を元に行うイベントを2025年10月11日に行うのでよければぜひ参加してください。
後半にイベントリンクを載せています。
はじめに
伝統工芸の世界には、何世代にもわたって受け継がれてきた技術や、ものづくりに込められた職人の想いがあります。
その一方で、現代はお客様の好みや暮らしのスタイルがどんどん変化し、さらにインターネットやデジタルの広がりによって、お店を取り巻く環境は大きく揺れ動いています。
お客様にとっての節句人形を改めて学び直しました。
例えば雛人形や五月人形のような伝統的なお飾りでも、「どんな人が、どんな気持ちで選んでいるのか」をしっかり理解することが欠かせません。
私たちは、お客様が商品を知り、見て、選び、手にするまでの体験を丁寧に設計し、その一つひとつを改善してきました。さらに、実際のお客様の反応や数字を基に「どうすればもっと喜ばれるのか」を考え、販売の工夫を積み重ねてきました。
こうした取り組みを通じて、昔からの人形づくりの魅力を大切にしながらも、新しい時代に合った方法で直接お客様にお届けすることに成功したのです。
私たちが取り組んでいるのは、ただ商品を売ることではありません。まずは、お客様が「なぜそれを欲しいと思うのか」「どんな気持ちで選ぶのか」を丁寧に理解しようとすることから始まります。
デジタルを取り入れつつ、自分たちらしいブランドコミュニケーションを企画
そのうえで、ブランドが持つ本当の魅力や価値を、できるだけわかりやすく、深く伝えていきたいと考えています。たとえば、インターネットを通じて商品を知っていただき、実際のお店や会場で手に取っていただく、といった「ネットと現実を行き来できる流れ」をしっかりと整えることも大切にしています。
さらに、長年現場で働いてきた人たちが持っている経験や知恵と、今の時代ならではの新しい技術を組み合わせることで、お客様にとって安心で便利、そして心に響く体験をつくり出すことを目指しています。
つまりこれは、私たちにとって「お客様の気持ちを大切にしながら、伝統と最新の力を合わせて、新しい価値を生み出す挑戦」なのです。
失敗や遠回りを恐れずに、何度も「こうではないか」と考えて試し、確かめることを繰り返していく。 そうして最後には、誰が見ても納得できる成功の形をつくり上げるまでの道のりがあります。
この積み重ねこそが、これからの時代においても役立ち続ける、貴社の未来を支える実践的な指針となるはずです。
読者の皆さまには、大切な伝統を守りながら成長の歓びを掴み取るための具体的な道筋と、経営者・マーケターの誰もが今日から実践可能なメソッドをこの記事から持ち帰っていただければ幸いです。
株式会社鈴甲子・実践をした担当者の概要
株式会社鈴甲子
鈴甲子(すずきね)は、明治時代に初代・鈴木甲子八が節句人形の陣道具作りから創業し、100年以上続く老舗の節句人形工房。
- 4代にわたり「雄山」の名と技を受け継ぎ、本物志向のものづくりにこだわって伝統技術を研鑽。
- 国宝や重要文化財の甲冑を忠実に復元する技術と、綿密な歴史研究にも定評があり、現代のニーズに合わせて創作人形や異業種コラボによる新たな作品づくりにも挑戦している。
- 思い描いたものが形になる面白さを追求したものづくりを心がけており、通常分業制となる伝統工芸の分野において、自社での技術習得がより自由な表現を可能にすると考え、商品開発を追求している。
- 「思い描いたものを実際に形にしていく」ものづくりの面白さを大切にしており、従来の枠にとらわれない商品開発と、「分かりやすく安心して選べる」販売の導線で、顧客が喜んで選んでくれる作品づくりを目指している。
鈴木雄一朗


- 株式会社鈴甲子 専務取締役で後継者
- 創業110年を超える老舗工房に生まれ、弟と共に家業を継承中
- 大学卒業後、金融機関に勤務
- コロナ禍で卸売販路を失った家業を見て、戻ることを決意。オンライン直販、カタログ設計、ショールーム体験、SNS発信などを自ら構築し事業を立て直しを図っている。
- 国宝模写鎧の制作や神社との共同企画など、伝統に根差した取り組みを発信に加え、現代の親世代にとって「分かりやすく安心して選べる」販売導線の確立を目指している。
専光建志(株式会社Pronoun)


- 当実践および鈴甲子全体のマーケティング実行におけるパートナー。東証プライム企業であるネットプロテクションズでの事業開発やIPOに向けてのブランド戦略の遂行を経て、SOMPO/JR西日本/CAMPFIREなどでのサービスDXを牽引。
- 「誰もが後世に残るアウトプットを生み出せる世界」をミッションとした株式会社Pronounを創業。老舗企業やスタートアップにて組織を拡大せず少人数で事業を拡大するためのSBMC(Small but Mighty Company )を国内で実践する先駆者。
学びと実践内容
(クリックすると詳細が開きます。)
1.顧客理解のやり直し
学び
「顧客にとっての節句人形」についてをわかったふりをせず把握する
実践事項
1-1. 調査の必要性と把握したいことを明確化
伝統工芸市場は高齢化や生活様式の多様化により、市場規模や顧客嗜好が刻々と変化しています。これまでの成功体験や直感に頼った施策では、縮小する市場での持続的成長は困難です。したがって、以下の目的を明確に持ち、具体的に実現可能な調査計画を策定することが不可欠です。
- 顧客像の精緻化:
- 潜在顧客層や自社既存顧客の購買プロファイルを多角的に分析し、典型的ペルソナを再定義
- ブランドイメージと訴求要素の把握:
- 顧客がどのようにブランドを認知し、どの価値を重視しているか、競合との比較で自社の位置づけを明確化
- 購買プロセスの段階別行動解明:
- 広告接触から来訪、相談、購入に至る各フェーズでの離脱要因や満足点の特定
- 市場動向と競合環境の分析:
- 業界全体の動向と競合の施策傾向を把握し、差別化につなげる仮説立案
1-2. 順番に明らかにしていく事項のストーリーを設計
調査単位ではなく、自分たちが持っている勘違いをなくすために何から確認していくのか、その後にどのようにふかぼっていくのかを整理して実行しました。
a) 定量調査(アンケート)
- 対象者選定
- 20~40代の子育て世代と祖父母世代を主軸に、購入経験者・検討中顧客を集める。SNSフォロワーや過去購入者など複数チャネルから抽出し、多様な意見を反映。
- 質問構造
- 1) 基礎属性(年齢、居住地域、家族構成、購買履歴) 2) 購買動機・決定要因(価格、品質、ブランド信頼、伝統性、利便性) 3) 情報接触経路(ネット検索、SNS、口コミ、実店舗) 4) 購入プロセスの評価(導線の分かりやすさ、接客満足度) 5) ブランドイメージ評価(継承のイメージ、革新性の認識)
- 回答の質担保
- 回答負荷を抑えつつ、調査パネルの精度を確保するため、ランダム抽出と先行スクリーニング質問を設け、回答のバイアスを最小化
b) 定性調査(半構造化インタビュー)
- 目的
- アンケートで表出しづらい心理的トリガーや購入検討時の感情起伏、競合商品比較時の詳細な評価軸を探る
- 対象
- アンケート回答者の中から、購買意欲が高く意見が多様な層を重点的に選定(10~15名程度)
- 設問例
- 「購入を後押しした具体的な状況は?」「伝統と現代性のどこに魅力を感じたか?」「商品選択で迷った点と決断の決め手は?」「実店舗とオンライン、どの点が使いやすかったか?」
- インタビュー形式
- 対面・オンライン併用。録音/録画後、AI要約ツールで要点抽出、テーマごとに分類しクロス分析に展開
c) ブランド認知と競合調査
- 市場ポジショニング調査
- 顧客が競合商品をどのように認識しているか、ブランド力や信頼性の比較指標をアンケート・インタビューで把握
- 競合分析
- 価格帯、商品バリエーション、導線設計、接客体験、広告・PR施策の情報収集を進め、新たな差別化ポイント仮説を具体化
参考: 調査体制・ツール設計
- 体制
- マーケティング担当+社内調査チーム+外部調査パネル会社連携のハイブリッド体制。 インタビューやアンケート設計・実施運用はsenko氏を含む専門コンサルが監修
- ツール活用
- Googleフォーム、SurveyMonkey等でアンケート設計。 AI音声認識+要約ツール(Otter.aiなど)でインタビューの自動書き起こし+要約を効率化。 データ管理はBIツールで一元化、リアルタイム分析を体制に組み込み
- スケジュール
- 1) 事前準備(ペルソナ設計・質問案作成)2週間 2) アンケート実施 1ヶ月 3) インタビュー実施 1ヶ月(並行) 4) 集計・分析・レポート作成 2週間 5) フィードバック・施策反映設計 2週間
- 1-4. 期待効果と活用方法
- ブランドや製品ポジショニングの戦略的基礎資料として活用
- LP構造や広告ターゲティング、接客ナレッジへの具体的な反映
- 顧客に響く訴求ポイントや不足点の明確化と新施策の仮説検証基盤
- 長期的に継続する体系的なデータ蓄積体制の構築
2.接客の見直し
学び
“認知人数”や”サイト流入数”ではなく、ちゃんと購入してくださりうるお客様にとっての接客品質に集中
商戦時期に向けた地に足のついた仕込みを徹底的に行う。
商戦に向けた具体的な仕込みと導線設計を徹底して整備しました。PRや新規施策については勝手に期待値を上げすぎず、具体的な積み上げを実施。
伝統工芸分野の商戦は購買期間が限定され、顧客接点が短期集中する特徴があるため、短期間で「表層成果(インプレッション数やクリック数)」に左右されやすい。しかし真に重要なのは「購買完了までの顧客体験の質」であるため、以下を徹底する必要がある。
実践事項
LPを役割を2区分に分けて、立ち位置に沿った改善を実施
- 1)「認知⇒興味喚起」用のライトLP(シンプルで1分以内に価値認識)
- 2)「詳細比較⇒購入支援」用のリッチLP(複数商品・セット比較、FAQ、顧客証言)
ユーザー属性別に想定行動を踏まえた導線設計
- 複数離脱ポイントに対応するよう問い合わせ、カタログ請求、LINE相談の複数動線を明確化
- UI/UX改善による直帰率・離脱率の低減
- スマホファーストデザインの最適化
記事広告運用の廃止と徹底した段階的最適化
- 性別・年齢・居住地域・時間帯・曜日別に、流入数ではなく、CPA(1販売あたりのコスト)を基軸に分析を踏まえ無駄を徹底的に排除
- 小規模予算を元に早期段階での検索者などを元に検証と改善をスタート(1日数千円規模)、各指標(CTR、CVR、CPA)に基づき段階的拡大。
- 過度な煽り広告を控え、伝統×革新のブランドイメージ訴求に徹する
- ABテストの常態化し、異なる文言・画像・CTAを試行し最適パターンを継続発見
PR・新施策の期待値コントロール
- PRは信頼性のある評価やストーリーを基軸とし、バズや過剰演出を避ける。
- 新規の露出施策は予算上は期待値にいれず、すでにある流入や自社で確実に行える流入施策を元に、その成果還元率をメインに企画をする。
オンライン・オフラインのシームレス体験設計
- LPやSNS閲覧→ショップ訪問→LINE相談→成約まで一連の導線体系の確認と最適化
- ショールーム予約・来店体験向上に向けた動線整備とデータ連携強化。
- 来店後のLINEフォローアップやアフターケア施策設計
3.商戦期間中での観測と最適化
学び
商戦直前・商戦中・商戦終盤・商戦直後、いずれもオフラインとオンラインのマーケティング健康状態を把握しすぐに対処する。
実践事項
1.フェーズ別の動的観測仕様の整備
以下を常に観測し、勘違いしたハンドリングが起きないための手配をしました。
a) 商戦直前(準備期)
- LPのアクセス状況(訪問数、平均滞在時間、直帰率)
- 広告配信量と効果(CTR、広告表示回数)
- 問い合わせ件数・カタログ請求数・ショールーム予約数
- 不具合・技術的阻害要因の最終検証
b) 商戦中(ピーク期)
- CVR(訪問→購入率)・LINE相談件数の推移監視
- ショールーム来店客数、接客評価アンケート分析
- 決済完了率・カート離脱率分析
- 在庫状況把握と限定販売・追加投入の検討
c) 商戦終盤(追い込み期)
- 未成約顧客フォローによるキャンセル防止、リピート・推奨促進
- 限定商品・在庫消化施策の展開
- 無駄な広告配信の停止・広告費効率化
d) 商戦直後(振り返り期)
- 顧客行動分析(購買傾向・SNS投稿数)
- ショールームでのアフターサービス反応
- 改善点の抽出と次期への提案策立案
2. データ連携基盤の構築と活用
- GA、CRM、POS、LINE公式アカウントの連携でリアルタイムデータ取得体制
- Slack等の情報共有ツールで異常検知・トレンド分析チームの運用
- AIによる異常通知やトレンド予測モデルの活用(例:販売動向の早期警告)
- ダッシュボードをフェーズ・指標ごとに複数用意し、多角的に健康状態を把握
4.失敗ではなく確かな成功を再現する
学び
予算と努力で拡大可能な「自力で追加で生み出せた成果」の原因と背景をとことん科学する
実践事項
1.買った人の背景/検索方法/決め手を細かく科学する基盤の整備
a) KPI体系の再構築
- 広告費対効果(ROAS)、CPA、CTR、CVRの相互関係分析
- セグメント別(地域、性別、年齢、デバイス)の獲得効率推定
- リード→成約へのコンバージョンパス別成功事例の定量化
b) ユーザーフローの詳細解析
- LP内のクリック遷移パターン、カート使い勝手・離脱ポイントの原因分析
- ・LINE相談チャネルからの成約率分析、フォローアップ施策の効果測定
- ・ショールーム来訪→展示体験→成約への導線評価
c) 施策ごとのROI(投資対効果)検証
- 施策別広告出稿コストと売上貢献度の因果分析
- プレスリリース、SNS投稿、インフルエンサー提携等の効果差の測定
- 新規企画・キャンペーンのタグ付けと比較検証
2. 分析体制の構築と運用
- データ統合基盤(CRM・GA・広告管理ツール)の整備
- 週次・月次の振り返り会議および改善ワークショップの定例化
- 分析結果のナレッジベース化と施策展開のドキュメンテーション
- 結果に基づくデータドリブンな意思決定体制
3. 長期視点と継続的改善
- 一時的な高成果に惑わされず、再現可能かつ拡大可能な成功パターンを積み上げる
- 顧客体験やブランド価値の変化も定点観測し、柔軟に仮説と施策をアップデート
- 奨励されるのは「小さな実験の積み重ね」と「オープンなチームコラボレーション」
- 仮説を軸にしたPDCAサイクルを高速化し、組織へのナレッジ・文化として定着させる
イベント案内
概要
- 上記などの詳細内容を共有するためのイベントを開催致します。
イベント参加者への付録について
WEBページでの公開は少し控えておきたい事項もあるため、以下についてはイベントチケットの付録としてメールにて送付させてください。
- 付録1:顧客の再理解のためのTODOリストや詳細レポート
- 実施したインタビューレポート・広告分析結果レポート
- ブランドポジショニングの整理結果・具体的に行ったTODO項目
- 付録2:詳細なデータや内容レポート
- チャネル構築・開発の実行事項詳細・都度行った判断の内容とタイミングや理由まとめ
チケット形式
1.アーカイブチケット:3000円
- 日程が合わない方も多いかと思い、録画での事後配布用のチケット用意しています。
2.当日参加チケット:8,000円
- 2025年10月11日 10:00〜15:00での実施となります。
チケット購入ページ
以下よりご購入ください。
総括
伝統工芸事業における経営・マーケティングは難しいけど、具体的に実践していくことで不可能ではないと感じました。
伝統工芸品市場での成功は、顧客理解の科学的深化とブランドストーリーの真摯な発信を土台に、デジタルとリアルの統合体験設計を進めることで実現できると感じました。
- KPI設計による明確な因果分析と施策最適化
- 店舗・広告・PR・SNSを含む多チャネルの連携運用
- 顧客接点の動的かつ継続的モニタリングによる迅速対応
- 施策効果の構造的理解と再現可能性の確保
が中核となると感じました。
これにより、短期的なデータの波に揺らがず、持続可能で再現性の高い成長が可能になるでしょう。伝統工芸の価値と時代の先端技術を掛け合わせ、「合理的かつ情緒的」な顧客体験の提供に向けた挑戦こそが、未来に向けた真の地域・文化継承を支える基盤となります。