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マーケティング原則・概念

商品を作り替える、説明の仕方を考える前に、人と商品の出会い方を捉える

何か新しいサービスやアプリ、商品を作った。人に見せてみる。サイトを作る。SNSで紹介する。

この知恵で考えられること

何か新しいサービスやアプリ、商品を作った。人に見せてみる。サイトを作る。SNSで紹介する。

何か新しいサービスやアプリ、商品を作った。人に見せてみる。サイトを作る。SNSで紹介する。

しかし、思ったほど反応されない。

そうすると、作り手は二つの方向へ考え始める。

  • 「まだ商品が良くないのではないか」
  • 「説明の仕方が悪いのではないか」
  • 機能を足す。
  • 価格を変える。
  • コピーを書き直す。
  • 類似サービスを調べて、違いを整理する。
  • 「これは○○のようなサービスです」と、一言で説明できるカテゴリーを探す。

どれも必要になることはある。

ただ、その前に一つ、別の可能性を見ておきたい。

その商品と人が、そもそも適切な流れで出会えていないのではないか。

ここでいう「出会えていない」は、広告が表示されていない、サイトに訪問されていない、という意味だけではない。

  • 目には入っている。
  • 説明もされている。

それでも、その人の中で「あ、これは自分に関係があるものかもしれない」が発生していない状態を含んでいる。

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考え方

人は商品を探し始める前から生きている

図・資料

マッチングサービスを探している人を考えてみる。

現在だけを切り取れば、「恋人が欲しい人」「マッチングアプリを探している人」と捉えられる。

しかし、その人はある日突然、検索窓の前に生成されたわけではない。

学校や職場で誰かと出会った。付き合ったことがある。うまくいかなかった。以前マッチングアプリを使って疲れた。しばらく恋愛から離れていた。友人が結婚した。生活環境が変わった。

その蓄積の先で、ある日「そろそろ誰かと出会いたい」と思ったり、「いいマッチングアプリないかな」と検索したりする。

商品を作る側から見ると「検索」や「問い合わせ」が始まりに見える。

しかし、人間から見ればかなり後半である。

「何が欲しいか」は、すでに翻訳された言葉かもしれない

図・資料

これは、本人の言葉を信用しないという話ではない。

「牛丼が食べたい」と言っている人は、本当に牛丼を食べたいのだろう。

ただ、人間はすでに世の中にどんなものがあるかを知っている。

腹が減った。時間がない。温かいものが食べたい。安く済ませたい。近くに牛丼屋があることも知っている。

そうした状況と知識を持った人間から、「牛丼食べたい」という言葉が出てくる。

「いいマッチングアプリないかな」も同じである。

だから、顧客が使っている商品名やカテゴリー名だけを集めていると、人間がすでに既存の商品世界へ翻訳した後しか見えなくなる。

新しいものを作ったり届けたりするときには、ときどき、その翻訳より前まで戻る必要がある。

買い手の人生全部を見る必要をなくすために。

顧客の人生をすべて理解しようとする必要はない。むしろ、それでは範囲が広すぎる。

ここで先に考えたいのが、自分たちが扱っているものは、その人にとって何なのかである。

たとえば、曲を作っているとする。

図・資料

  • 物としては曲である。ここを否定する必要はない。
  • しかし、人の生活の中から見れば、それは別の姿も持っている。
  • 友人たちと集まっている時間をもっと楽しくするものかもしれない。
  • 場の空気を切り替えるものかもしれない。一人で帰る夜の感情に付き合うものかもしれない。
  • 誰かとの時間を記憶に残すものかもしれない。

パーティーという状況なら、曲は「音楽作品」であると同時に、かなり乱暴に言えばその場を楽しくするためのエンタメ装置や装飾品として扱われているかもしれない。

そう捉えると、見るべき過去も変わる。

「普段どんな曲を聴いていますか」だけではなくなる。

  • どんな集まりを開いてきたのか。
  • そこで何を準備したのか。
  • 場が盛り上がらなかった経験はあるのか。
  • 会場を探すときには何を調べるのか。
  • 誰がその場の雰囲気をつくる役割を担っているのか。

商品を「曲」とだけ捉えれば、音楽についての経験を調べる。

「場を楽しくするために使われるもの」と捉えれば、その人が場をつくってきた経験まで探索範囲に入る。

何として受け取られるものなのかを考えることで、顧客のどの経験まで遡って見ればよいかが決まる。

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出会う場所と形式で選ばれる率は全く変わる

図・資料

たくさんの有名なバンドが出演しているロックフェスを想像する。

観客は目当てのアーティストを見に来ている。隣のステージでも好きなバンドが始まる。

そこに、誰も知らないアーティストが突然現れる。

演奏が悪いから人が来ないとは限らない。

紹介文があと20%分かりやすければ人が来る、とも限らない。

その環境では、知らないアーティストをわざわざ選ぶ理由がほとんどない。

商品でも同じことが起こる。

見るべきなのは説明文だけではない。

誰が、どんな状態で、何をしている最中に、この商品と出会っているのか。

「誰に売るか」だけでは足りない。

どんな状況の、どんな行動の最中にいる人と出会うかまで考える。

コツ

1.「欲しい人」を探すのではなく、そこに至る流れを見る

顧客像を考えるとき、つい本質的な欲求を探したくなる。

  • 「この人の根源的なニーズは何か」
  • 「どんな価値観を持っているか」
  • 「品質を判断するとき何を重視するか」

もちろん、それらも役に立つ。

ただ、新しいものを形にしていく初期では、もっと素朴な事実から見た方がよいことがある。

  • その人には何が起きてきたのか。
  • 何を使ったことがあるのか。
  • 何を試して、どうなったのか。
  • その出来事を本人はどう理解したのか。
  • 今はどんな環境にいるのか。
  • そこから何をし始めるのか。

どこへ行き、何を検索し、誰に聞き、何を見るのか。

そして、その流れのどこなら、自分たちのものを見たときに、**「あ、これ私のものかも」**が起こりうるのか。

ここまで見えてくると、初めて「どう説明するか」も具体的になる。

場合によっては、

  • 商品自体を作り替えた方がいいと分かるかもしれない。
  • 売る場所が違うと分かるかもしれない。名前を変えるかもしれない。
  • 価格ではなく試し方を変えるかもしれない。

逆に、商品にはほとんど手を入れなくていいと分かることもある。

2.反応がないとき、すぐ自分の創造物を疑わない

新しく何かを作って反応されないと、「まだいいものを作れていない」「自分はビジネスを分かっていない」と考えやすい。

あるいは、「もっとマーケティングを勉強しなければ」「もっと分かりやすく説明しなければ」と考える。

それらが正しいこともある。

しかし、反応がないという事実だけからは、そこまでは分からない。

この時に何が原因であるか?の探索先を細かく検査していく考え方から再現性は生まれる。

  • 商品が悪いのかもしれない。
  • 説明が悪いのかもしれない。
  • 出会う場所が悪いのかもしれない。
  • 相手が違うのかもしれない。
  • あるいは、自分たち自身が「これは何なのか」を、作り手側の商品カテゴリーからしか捉えられていないのかもしれない。

だから、商品を作り替える前に、説明を磨く前に、一度その商品から離れて人を見る。

その人にはこれまで何が起きていて、今どんな状況にいて、何をし始めようとしているのか。

そして、その流れの中に自分たちの商品を置いてみる。

マーケティングや商品設計は、そこから始めても遅くない。

3.まだどうやっても買えない人の買い方を想像して、最初の商品を説明しない

既存カテゴリーの商品を比較して、実績、価格、機能、評判を見ながら慎重に選ぶ。これはごく普通の購買行動である。

しかし、まだ提供実績も少なく、名前も知られていない新しい商品に対して、そういった買い方をする層が同じ買い方をすることはかなり難しい。

  • 十分な導入実績がない。
  • 口コミも少ない。
  • 他商品との比較表も成立しにくい。

それでも作り手は、無意識に「成熟した市場で比較購入する人」を頭の中に置いて説明を作ることがある。

しかし、その人は、どれだけ上手に説明しても現時点では買わないかもしれない。

一方で、新しいものでも手に取る人はいる。

ここで、イノベーターやアーリーアダプターだけが特殊な欲求を持っている、と考える必要はない。

人が経験を蓄積し、何らかの状況に置かれ、何かを変えようとして探索するという基本構造は変わらない。

違うのは、その状況の中でまだ実績のない新しい手段まで探索対象にできるかである。

だから初期の商品ほど、「このカテゴリーの商品を探している人に、どう違いを説明するか」だけを考えるとおかしくなりやすい。

イノベーターとしては市場に飽き飽きしているので、なんか目を引く1点だけでもちゃんとわかればネクストアクションに進むことも多い。

説明の量が多い時点で伝達率は1/10以下まで下がることもある。

そういった説明を捨てる勇気が持てるかも0-1段階では重要になる。

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おわりに

5分で読める詳細ページに進まない。500円のお試しすら使われない。これを不思議なことだと思うべき。

3,000円の商品が売れないなら、価格が高いのかもしれない。品質が足りないのかもしれない。

では、500円で一度試せるようにしても使われない。詳しい資料を用意しても読まれない。30分あれば十分に理解できるサービスなのに、その30分すら使われない。

これは、よく考えると少し不思議な現象である。

もちろん、人には時間がない。

しかし、その人にとって30分が絶対に失えないほど貴重だから読まれなかった、というわけでもないことが多い。

単に、30分使って知ろうとする対象になっていない。

この段階では、説明の細部を改善してもあまり変わらないことがある。

本来うまく接続できていれば、

  • 「あ、これ私のことかも」
  • 「なるほど、面白い」
  • 「もう少し知りたい」

くらいのことは、かなり短い時間で起こる。

商品の詳細な理解も、競合との比較も、その後でいい。

この最初の接続が起きていない。

なのに、「機能の違いが十分伝わっていないのでは」「料金体系をもっと丁寧に説明しよう」と考え続けてしまう。

存在していない比較検討を一生懸命支援することになる。

大体の失敗は上手くやれていないのではなく、取り組みこと自体が間違えているから空振りが続く。