この知恵で考えられること
ChatGPTに伝えるために、綺麗な文章を書いたり、専門用語を覚えたりする必要はない。
Part 1. 考え方
1. AIに合わせて人間が頑張る必要はない
ChatGPTに伝えるために、綺麗な文章を書いたり、専門用語を覚えたりする必要はない。
人間同士で仕事をするときのように、考えていることをそのまま話してよい。
- 話が前後してもよい
- 言い直したり、途中で考えが変わってもよい
- わからないことは、わからないまま伝えてよい
- 綺麗にまとめるより、具体的な情報を多く渡す
人間がAIに合わせるのではなく、AIに人間の考え方や仕事の進め方を合わせてもらう。
2. AIは賢いが、現実が見えているわけではない
AIは過去に何を相談したかは知っていても、実際に何が行われたかまではわからない。
例えば「この設定を変更して」と依頼しても、その変更が実際に行われたか、どのような設定になったかを自動的に把握できるわけではない。
AIは、現実が見えないまま仕事をしていることがある。
- AIが知っていること:過去の会話、設計意図、一般的な知識
- AIが知らないこと:実際の操作結果、最新の設定、現場の事情
- 人間がすること:実際の状態を伝え、認識のずれを埋める
AIに想像させるより、実際の状態を見せた方がよい。
3. AIの回答は正解ではなく、議論のたたき台
AIは一般的な知識をもとに、もっともらしい提案を出せる。しかし、その提案が現場に適しているかは別の問題。
現場の仕事を知っている人間の判断が重要になる。
- 「ここは合っている」
- 「ここは違う」
- 「実は両方必要」
- 「今は必要ない」
- 「なぜそうするのか、よくわからない」
こうした率直な反応が、AIにとって重要な情報になる。
AIに判断を任せきるのではなく、人間が現場の知識を返すことで、答えを一緒につくる。
4. AIには「何をしたいか」だけでなく「なぜ」を伝える
AIは一般的な業務知識や技術知識を広く持っている。
そのため、一般論を一から説明するよりも、その仕事ならではの事情を伝えた方がよい。
例えば、
「トップ画面を一覧にしたい」
だけでなく、
「県から来た仕事を町内の担当者に割り振り、進捗を把握する立場なので、最初に全体を見たい」
と伝える。
これによって、AIは画面の見た目だけでなく、仕事の目的や流れを踏まえて提案できる。
機能の希望よりも、仕事の背景・役割・目的が重要なことがある。
5. AIとの仕事は、会話を重ねるほど進めやすくなる
仕事の背景や設計、これまでの判断が共有されていると、細かい説明を省略しても話が通じやすくなる。
多少の言い間違いや音声認識の誤りも、文脈から補える場合がある。
逆に、前提を共有していない状態で大量の情報を渡しても、正しく理解されるとは限らない。
- 最初に仕事の背景や目的を共有する
- 同じ仕事は、なるべく同じチャットで続ける
- 判断や変更の経緯を残す
- 実際の状態が変わったら、新しい情報を渡す
AIに仕事の文脈が蓄積されるほど、自然な会話で仕事を進めやすくなる。
6. AIとの協働方法自体も、AIと一緒に改善する
AIが使いにくいと感じたら、その使いにくさ自体を相談してよい。
「もっとわかりやすく教えてほしい」
「私から何を伝えれば、もっと正確に支援できますか?」
「情報が足りなかったら質問してほしい」
「次に何をすべきか、あなたから指示してほしい」
AIは与えられた情報だけで作業を進めようとすることがあるため、足りない情報を積極的に確認するよう依頼するとよい。
AIの能力を使うだけでなく、AIとの働き方そのものを設計する。
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Part 2. 使い方
1. まず仕事の背景と目的を共有する
最初に、AIが仕事全体を理解できる情報を渡す。
伝える情報
- どんな仕事をしているか
- 誰が、どんな立場で使うものか
- 何を実現したいか
- 現在どこまで進んでいるか
- 何に困っているか
- 今回はどこまで進めたいか
依頼例
自治体の案件管理アプリを作っています。
私は県から依頼された業務を町内の担当者に割り振り、進捗を管理する立場です。
現在はGoogleスプレッドシートとAppSheetで構築しています。
まずは案件の登録から進捗確認まで、一連の業務が行える状態にしたいです。
この背景を踏まえて、必要な構造を一緒に考えてください。
2. 画面や設定など、実際の状態をAIに渡す
作業が進んできたら、AIが理解している設計と実際の状態にずれが生まれることがある。
そのときは、実物を共有する。
渡せる情報の例
| 情報 | 渡し方 |
|---|---|
| 操作画面 | スクリーンショット |
| データの中身 | CSV、Excel、スプレッドシート |
| アプリの設定 | 設定資料、HTMLなど |
| プログラム | ソースコード |
| 業務のルール | 文書、議事録、要件整理 |
| エラーや動作履歴 | ログ、エラーメッセージ |
例えばAppSheetでは、設定ドキュメントをブラウザからHTML形式で保存し、ChatGPTに添付する方法がある。
依頼例
添付したファイルは、現在のアプリの設定内容です。
これまで一緒に考えた設計と実際の設定を突き合わせてください。
まず、実装済み・未実装・設計とのずれを網羅的に整理してください。
まだ修正作業には入らず、現状認識をそろえたいです。
3. AIの提案を見ながら、音声でレビューする
AIからの提案に対して、一つひとつ文章を作る必要はない。
画面を見ながら、思ったことを音声入力で話していく。
話す内容
- 合っていると思うところ
- 違うと思うところ
- 理由がよくわからないところ
- 追加で気づいたこと
- 今回は必要ないと思うもの
- 自分では操作できそうにないもの
依頼例
今からあなたの提案を上から順番に読みながら、感想を話します。
話が前後したり、言い直したりすると思いますが、内容を整理してください。
私の意見を踏まえて、必要な設計変更を反映してください。
判断が曖昧な部分は質問してください。
ポイントは、AIに理解してもらうために自分の思考を整理しきる必要はないということ。
整理する作業自体をAIに任せてよい。
4. 作業手順は少しずつ案内してもらう
全体の修正方針が決まっても、実際の操作方法がわからなければ作業できない。
その場合は、AIに作業の進行役を任せる。
指定するとよいこと
- 一度に1〜3操作ずつ案内する
- 操作する画面やボタンを具体的に示す
- 操作が終わったら何を確認するか説明する
- 画面を移動するときは、それまでの作業を確認する
- 初心者にもわかる言葉を使う
- わからないことがあれば途中で質問できるようにする
依頼例
ここから実際に修正作業を進めたいです。
一度に1〜3操作ずつ、順番に案内してください。
各操作について、どの画面で何をすればいいか、操作後にどこを見れば成功したとわかるかを教えてください。
別の画面に移るタイミングでは、それまでの作業が正しいか確認する手順も入れてください。
私が作業できたことを確認してから、次に進んでください。
5. 音声入力と音声会話を使い分ける
ChatGPTの音声の使い方には、主に二つのパターンがある。
A. 音声入力 → 文字で回答
向いている用途
- 仕事の設計
- 大量の意見やレビュー
- 長い説明
- 複雑な問題の整理
- 具体的な操作手順の作成
長く話した内容を一括で渡し、AIには構造的な文章で回答してもらう。
B. リアルタイム音声会話
向いている用途
- 料理など、手が離せない作業
- ちょっとした質問
- アイデア出し
- 頭の中が混乱したときの整理
- 会話しながら考えたい場面
例えば料理中に、今ある材料を伝えて次の手順を聞いたり、途中で材料が足りないことに気づいたら変更方法を相談したりできる。
仕事の設計を文字で進め、途中で混乱したら音声会話に切り替え、整理がついたら元の作業に戻る使い方もできる。
6. 仕事の優先順位と、やらないことを決める
AIは便利そうな機能をいろいろ提案できる。
しかし、全部を実装すると作業が複雑になる。
進め方
- まず最低限必要な業務を成立させる
- 実際に一連の流れを試す
- 使いにくい部分を直す
- 追加機能は必要性を判断してからつくる
依頼例
提案してもらった変更履歴や過去資料の管理機能は、現時点では実装しなくて大丈夫です。
まずは案件を登録し、担当者を設定し、期限と進捗を確認できる状態を優先します。
今回の実装範囲を整理し直してください。
機能を増やすことより、実際に使える状態を完成させることを優先する。
7. AIに必要な情報や、自分の次の仕事を質問する
何を伝えればよいかわからない場合は、そのままAIに聞く。
依頼例
この仕事をより正確に進めるために、あなたがまだ知らない情報は何ですか?
私が確認した方がよいこと、渡した方がよい資料、決める必要があることを整理してください。
必要に応じて、私に質問したり、次の作業を指示したりしてください。
AIに作業を依頼するだけでなく、人間側が何をすれば仕事が進むかも考えてもらう。
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Part 3. 基本的な進め方
ここまでの内容を、一つの仕事の流れとして整理すると次のようになる。
| 段階 | 人間がすること | AIにしてもらうこと |
|---|---|---|
| 1. 共有 | 背景・目的・現状を伝える | 仕事全体を理解する |
| 2. 設計 | 希望や制約を伝える | 実現方法を提案する |
| 3. 実行 | 実際に操作・作業する | 手順を案内する |
| 4. 現状確認 | 最新の設定や結果を渡す | 設計と実際の差分を調べる |
| 5. レビュー | 合否・違和感・要望を話す | 提案や設計を修正する |
| 6. 改善 | 優先順位を決める | 次の作業を組み立てる |
| 7. 運用 | 実際に使い、問題を把握する | 運用改善を支援する |
この流れを何度も繰り返すことで、AIと人間の間で共有される情報が増え、仕事を進めやすくなる。
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まとめ
ChatGPTを使ううえで大切なのは、プロンプトの技術だけではない。
- うまく書くより、たくさん伝える。
- 指示するだけでなく、実際の状態を見せる。
- AIの答えを信じきらず、自分の判断を返す。
- 操作方法だけでなく、仕事の目的を共有する。
- わからないことは、そのまま伝える。
- AIに次の作業や、必要な情報を考えてもらう。
- AIとの仕事の進め方自体も、AIと改善する。
最も重要なのは、次の考え方。
AIに合わせて自分の伝え方を頑張って整えるのではなく、自分と仕事に合わせてAIの働き方を整える。
ChatGPTは、完成した質問を投げて答えを受け取るだけの道具ではない。
考えを共有し、現実を確認し、互いの認識を修正しながら、一緒に仕事を進めるための相手として使うことができる。